誤嚥

食べ物や飲み物を飲み込むことを「嚥下(えんげ)」といいます。嚥下は成長と共に身についた行為なので、普段は、ものを食べたり飲んだり唾液を飲み込んだりする時、特に意識することは、あまりないと思います。しかし、高齢者になると、食べ物や飲み物を誤って気管に入れてしまい、むせることがしばしば起こるようになります。このような現象を嚥下(えんげ)障害といいます。
喉は、食道と気管が交差しており、食べ物が口の中にない時、喉は気管と交通して呼吸をしています。食べ物などが喉を通過する瞬間(0.5~0.8秒)は、声門や喉頭蓋(こうとうがい)というフタが気管をふさぎ、食べ物や飲み物を食道に送り込んでいます。それによって、食道に流れるべき食べものや唾液などが、誤って気管に入り込むのを(誤嚥(ごえん))防いでいます。

飲食物が口の中に入った時

高齢になるとのどの奥の感覚が徐々に鈍くなってくるため、誤嚥しやすくなります.さらに問題なのは、感覚が鈍っていたり、脳の機能が落ちていて、「むせる」ことができない場合で、このようにしておこる誤嚥を「不顕性(むせない)誤嚥」と呼んでいます。この場合は食べ物だけでなく、本来なら無意識に飲み込めている唾液も誤嚥するため、口の中にいる細菌によって肺炎をおこしてきます。口腔内を清潔に保つ、口腔ケアが重要になります。特に注意しなければならないのは、肺炎やインフルエンザにかかった後のお年寄りです。こういった感染症がお年寄りの体に与えるダメージは非常に大きく、それは外からは見えない感覚や脳の機能にも及んでいます。それが入院中だけでなく、家庭でも起こることを注意喚起しています。「むせ」が無くても、肺炎を繰り返すお年寄りの場合は、不顕性誤嚥の可能性がありますので、専門の医療機関に相談しましょう。

歯科衛生士:新戸