歯科と獣医科

昨今コロナにより、在宅ワークも多くなったことも関係してか、ペット飼育率は増加傾向にあると耳にします。

ペットを飼育している方にお話を聞くと(私もその一人ですが)、人間と同様大切な家族だと口をそろえて仰います。

歯科衛生士として患者さんとお話する際も、

患者さんよりペットの歯石や歯周病についてのお話を聞くことも多々あります。

口腔内の健康に携わる者として、助言ができたらと思うのですが、

実は人間のかかる医科や歯科は厚生労働省の管轄、獣医科は農林水産省の管轄であることもあり、

ここが交わることは現在現実的にはありません。

ただ、やはり人間の口腔内と動物も全く違うわけでもないと思うことは多々あり

例えば

人間の歯周病は細菌感染を主とする多因子疾患であり、その細菌の代表的な悪い菌に Porphyromonas gingivalis  というものかいます。

数種類の遺伝子型があり、それによって悪さのレベルが違います。

動物(犬、猫)はどうかというと Porphyromonas gulae  という菌が主に悪さをすると言われています。

こちらも遺伝子型があるようで、人間同様細菌検査からリスクを割り出すようです。

そして、動物(犬、猫)と濃厚さ接触が多い人の口腔内からはこの、Porphyromonas gulae が検出させると言われています。

この菌が人間の口腔内で何かをおこすと言った報告は聞いたことはありませんが定着はできるようです。

その他、動物の歯周病の治療に使う器具機材は、人間の歯科で使うものと同じメーカーから出ていて、おなじような形態のものを多く見ます。

動物の歯周病は人間の歯周病以上に死亡に関わるリスクが高いと聞くことが多いです。

管轄省庁が違うこともあり、なかなか交わることは難しいですがペットが人間と同様大切な家族と思う者として

より多くの歯周病のペットが救われるためにも、獣医科と歯科の連携ができる世の中になってほしいと心から思っておりますし、その為にも自分の課題としこの分野の研鑽や発信を行っていきたいと思っております。

歯科衛生士 高橋 恵